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#128 クレーン付貨車 [鉄道シリーズ]

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 1971年のカタログに、鉄道シリーズ唯一の新製品として掲載されたのがこの#128でした。英語の品名はMobile craneとなっております。クレーン付貨車とは、これまたあまり魅力的な名前ではありませんね。鉄道の世界で言うところの操重機でしょうか。
 #128はいろいろな意味で過渡期の製品でありました。それまでの車両とは下回りの構造が変わり、床板に直接取り付けられていた連結器が、ブリック1段を介し低い位置に取り付けられています。その結果、従来の車両と連結すると、ご覧のようにかなり無理なかっこうとなり、子ども心に「変だ〜」と思った覚えがあります。床下に台枠らしき表現がされ、また足回りが黒で統一されているのも新しい感じでした。
 実はコレ、この後に行われる鉄道シリーズ製品群の全面リニューアルを先取りした変更である事がやがてあきらかになります。すなわち、以後に発売された車両では下回りに、床板と台枠、車輪、そして連結器が一体となった台車が使われるようになり、#128はこれらとの連結を考慮した構造だったわけです。
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 #128自体も1年足らずの間に、下回りにこの台車を使うバージョンに変更されています(品番は同じ)。Peeronには、この両方のバージョンの#128が収録されています。初期のものはこちら、後期のものはこちらです。
 #128は1973年のカタログでは姿を消してしまいましたから、非常に短命だったといえます。その点でも過渡期の製品という感じがしますね。

幻の? 1972年版カタログ [資料など]

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 日本語のカタログとしては1960年代末に2点(発行年は明記されていなかった)発行された後、1970年版、1971年版が出ています。ところがその次に出たのは、当方の知る限りでは1973年版で、1972年版というのは存在しない様子(あるはずだ!とおっしゃる方、情報をお寄せください)。しかしながら、海外ではご覧のように、立派な1972年版カタログが出ています。写真は海外オークションで入手したベルギー版(独仏語併記)で、Peeron にはドイツ版も収録されています。
 このカタログではレゴランドや4.5V鉄道シリーズに大物の新製品がいくつも登場しています。なぜ日本語カタログが出なかったのか、疑問が残るところ。1973年以後は順調に年版カタログが出ていますし……。ちなみにこの時代の輸入元は不二商で、1960年代末にそれまでの朝日通商から引き継ぎ、1978年にレゴ・ジャパンが設立されるまで日本での販売業務を担当していたはずです。
↓このように、レゴランドシリーズのページには大物の新製品がズラリ……。
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1972年の日本版カタログが発行されなかった理由は……?
 推理その1;新製品が多かったこと自体が理由だったのかも。レゴランドシリーズはともかく、4.5V鉄道シリーズでは従来のセットや単品の車両がほとんど廃番となり、新しい製品群と入れ替わっています。そして車両の構造も、足回りに車輪や連結器もついた一体形の台車パーツに統一され、連結器の高さなど規格も若干変更されています。こうなると、1971年以前の製品は売りづらくなると思うのですが、もし、日本市場で旧製品の在庫がまだたくさんあったとしたら、この際、カタログの発行を見送ってでも、旧製品を売ろうという判断がなされた……という事は考えられないでしょうか。
↓4.5V鉄道シリーズのページ。列車セットはすべて新製品に移行しています。
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 推理その2;あるいは1971年のカタログには掲載されていた12V鉄道システムの動向と関係があるのかも。海外では販売が続けられていたにもかかわらず、1973年の日本版カタログでは姿を消してしまっているからです(ちなみにイギリス版でも同様)。1972年のカタログを出す時期に、不二商では12Vシステムを日本向けに発売するかどうか、決めかねていたとか……?
↓ベルギー版の1972年版カタログには引き続き、12V鉄道シリーズが掲載されています。
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 12Vシステムが結局、日本に流通しなかった理由も不明ですが、家庭用コンセントから電源をとるトランスを使うこのシステムでは当然、日本の100V規格のトランスが必要となり、それがネックになったのかも。しかし、不二商はドイツの有名な鉄道模型メーカーであるメルクリン製品の輸入も手がけており、こちらでは日本規格のトランスをちゃんと発売していますから、技術的な問題はなかったはず。下の写真は1975年の「メルクリン」日本版カタログより。日本規格のトランスが掲載されており、しかもレゴの場合と異なり実際に市場に出回っていました。
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 思うに、レゴの12Vシステムは、価格や位置づけを考え合わせると、日本では売れないだろうという、シビアなマーケティング結果だったのかもしれません。
 いずれにしても、12Vシステムの製品群は今後、掘り下げて行きたい研究テーマですね。
 なお1972年のベルギー版カタログの全容は、Peeron で見る事ができます。

#604 シャベルトラクター/#642 パワーシャベル [レゴランドシリーズ]

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 1971年発売のレゴランドシリーズから2点。いずれも昔遊んだ物で、たぶん小遣いで買ったのだと思います。別に土木機械が好きなわけでもなかったのに、数ある製品の中から似たような車両2種を購入したのは何故かは謎です。 
 レゴ社としてはおそらく、前項にて紹介した#351「砕石工場」と組み合わせて遊べる車両として発売したものだと思われます。
 例によってPeeronで調べると、#604の英語名はExcavator、#642の英語名はDouble Excavatorとなっております。エクスカヴェイターとは掘削車の事らしいです。
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 上の写真は近年、オークションで入手した#604の外箱。不思議なもので、昔、買った時に目にしているはずなのに、まったく記憶にないんですね。どこで買ったのかも覚えていませんし。箱、それに説明書も無造作に捨てていたんでしょう。モッタイナイ……。もっとも、子どもの頃からコレクター根性を発揮して、箱やなんかを全部とっておいたら不自然でしょうけどネ。
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#351 砕石工場 [レゴランドシリーズ]

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オールドレゴラヴァーズのみなさま、メリークリスマス!
 今回ご紹介するのは1971年に発売された「砕石工場」です。実は発売当初、カタログには「ベルトコンベヤー付サイロ」という商品名で掲載されていたんですが、サイロというのは貯蔵庫の事(だと思う)で、1973年カタログでは「砕石工場」に改められています。Peeronによれば英語名はLoader hopper with truckすなわち「トラック付き積み込みホッパー」となっていました。
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 この製品のセールスポイントは、当初の製品名の通り、可動式のベルトコンベヤが付いている事で、ハンドルをまわすと砕石にみたてた1×1のブリックがスルスルと上っていって、建物の中をカラコロと転がり落ち、下に停まっているダンプトラックの荷台に積み込まれるというギミックが楽しめるのでした。ずいぶん遊んだ覚えがありますよ。
 ↓建物の内部はこんな様子。屋根に使うスロープを活用してホッパーが構成されています。
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 何もかもが懐かしいオールドレゴですが、#351はおよそ40年前のクリスマス(あるいは誕生日だったかも)のプレゼントとしてもらった覚えのある、ひときわ懐かしい品物です。上の写真は当方がかつて遊んだ#351の残骸。肝心のベルトコンベヤーがバラバラになってしまい、復元はあきらめていたのですが、国内オークションにて新たに譲っていただき、再度まみえる事ができました。デッドストックかと見まがうようなピカピカの品物で、こんな状態で保存しておいて下さった元オーナーさんに最大限の感謝をささげたいと思います。
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#640 消防車 [レゴランドシリーズ]

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 消防車両や消防署は現在にいたるまでレゴが得意とするジャンルであるようです。ミリタリー物が存在しないレゴの世界では、男の子指向の分野として貴重なのかもしれません。
 1970年のレゴランドシリーズ開幕の時点でも#620の消防車が発売されていましたが、1年後には早くもモデルチェンジして、この#640が登場しました。旋回可能になったハシゴ、牽引式のポンプなど、小さいながらも楽しい仕掛けを盛り込んでおります。下の写真は先輩の#620とのツーショットです。
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 なお1978年には再度、#640として、今度はミニフィグ付の消防車が発売されています。
 ちなみに1971年の時点では#347 消防署は引き続き売られていましたが、1973年には消防署も、#640に似た消防車が付属する#357にモデルチェンジしています。

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#605 タクシー/#608 売店 [レゴランドシリーズ]

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 1971年のカタログではレゴランドシリーズに19種類もの新製品が登場。このうち手元にある品物を紹介していきましょう。
 19種のうち15種は、レゴ入門編ともいえるプチモデルたちで、600番代の品番が割り当てられていました。前年までは600番代は自動車ばかりでしたが、この年には今回お目にかける売店や、シェルのガソリンスタンドも登場しています。いずれも、小さいながらも専用のベースプレートの付いた楽しい製品です。#608の英語名はKIOSK、#605の英語名はズバリ、TAXIです。この2つを並べてみると、いかにもヨーロッパの街角というムードでいいですね。
 いずれも国内のオークションサイトを通じ、まとめて譲っていただいたオールドレゴの中に含まれていたもの。他にも箱入りのレゴランドシリーズがかなりありまして、順次ご覧にいれていきたいと思います。
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#157 前後進切換機 [鉄道シリーズ]

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 なんとも物々しい名前で、そもそも子どもの頃には読めないし、現物を見てもなんだかよくわからなかった製品がこの#157でした。その全貌が判明したのは、先にオークションで#119「総合汽車セット」を入手した時(記事はこちら)で、百聞は一見にしかず、その巧妙な仕組みに思わず唸ったのであります。
 写真は最近、入手した箱入りの#157。ご覧のように本体(青い連結器が付いているグレーの箱状のもの)と付属品がセットになっています。
 当時のレゴの機関車は、バッテリーボックスに車輪をつけて「炭水車」として引っ張るのが一般的で、機関車との間にはコードが渡されていました。このバッテリーボックスの下面に、#157の本体をまず取付けます。双方の端子が接して、両者は電気的にも結合されます。さらに下に車輪を取付けて「炭水車」とします。
 #157の前面のジャック孔と、機関車のモーターをコードでつなぎます。これで車両側の準備は完了。
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 今度は線路の方。任意の場所にこのポストを取り付けます。余談ですが、これ、日本の鉄道の里程標みたいでちょっといいですね。
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 さて#157の側面にはスイッチのレバーがついています。列車が前進して、炭水車がポストのところに差し掛かると、レバーがポストにあたってスイッチが後進位置に切り替わり、列車は後進しはじめるという仕掛け。見せられれば「なあんだ」というような、それでいて、いつまでも飽きないようなアクションを見せてくれます。
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 ちなみにここに掲げたのは電池を入れないでとった演出写真で、実際に動作させたワケではありません。同様の仕掛けは後年、発売された#161「バッテリーカー」にもついていて、こちらは子どもの頃ずいぶん遊んだものですが、そのお話はまたあらためて。

#343 フェリーボート [鉄道シリーズ]

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↑これは何でしょう?……って、タイトルでもうバレていますね。#343 フェリーボートのベースプレートであります。
 #343はかつて持っていたレゴのセットの中ではかなりの大物で、それだけに印象も強かったんですが、このベースプレートを紛失してしまっていたため復元できずにいました。ブリックリンクで補充しようかとも考えたんですが、このプレート、結構なお値段がついていて躊躇……。ところが先ごろ、国内オークションサイトを通じ、古いレゴをまとめて譲っていただいた中に、さりげなくこのプレートが含まれているのを見つけたときは万歳三唱しましたよ(心の中でね)。
 というわけで、早速復元開始!
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Peeron http://www.peeron.com/inv/sets/343-1によると#343は1968年の発売。1972年頃まで売られていたようです。この項では勝手に「鉄道シリーズ」に分類しましたが、カタログ上ではどのシリーズにも属していませんでした。1970年版カタログでのみ「スペシャルセット」というページに掲載されていましたが、これは要するにどこに入れればいいかわからない品物を集めたページです。
 レゴの故郷であるデンマークは日本に似て、いくつかの大きな島&半島の集合体で、スウェーデンとも海峡を挟んで接していますから(今は海底トンネルがあるらしい)、フェリーボートが活躍する場も多いのだと考えられます。まあ、それはともかく、レゴの列車で遊ぶのにこれは楽しいアイテムですよね! ご覧の通り、客貨車2両を積み込みことができます。反対側からも積み降ろし可能です。
 よみがえりしフェリーボートの勇姿をとくとご覧あれ!
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小箱入りの部品 [総合]

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 現在は店頭で、レゴの部品の小ロット販売はしていないようですね。まあ、部品の種類も昔とは比べ物にならないほど多いし、ブリックリンクという便利なものもあるし、必要ないのかもしれません。したがって、これらの品々もオールドレゴならではのモノと言えるでしょうか。
 1970年のカタログを見ると、部品の分売は900番代の品番で23種類。基本ブリックはもちろん、タイヤ、車輪と連結器、窓とドア、湾曲部品と円柱、平板、スリムブリック(薄板)、屋根部銀、フラットブリック(タイル)などがありました。面白いのは同じ品番で色が何種類か用意されている場合がある事。たとえば#914(窓9ケとドア1ケ入)には赤と白の2種、#918(4×2ブリック・21ケ入)には赤・白・青・黄・透明・黒の6種が用意されていて、「お買い求めの際、色をご指定ください」と注意書きが付いています。
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 お目にかけるには#980(屋根部品23ケ入)と#994(垣根15ケ・門2ケ入)。#980は青の他、赤もありました。
 で、改めて見ると、小ロット、低価格の分売部品でありながら、工夫をこらしたパッケージ、中に含まれているリーフレットなど、大がかりなセットものに負けないようなワクワク感が演出されているところが嬉しい! この小さな箱を握りしめて、広大なレゴの町を夢見る事を、今の子どもたちはできないのだと思うと、ちょっと可哀想な気がするのでした。

もうひとつの#116 [鉄道シリーズ]

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 国内のオークションを介し古いレゴをまとまって譲っていただいた中に、#116が含まれていました。以前、海外のオークションで入手した#116(記事はこちら)とは微妙に違います。あ、貨車のドアに前オーナーさんが貼ったらしきステッカー(たぶん#685のもの)が付いている事はご愛嬌として……。
 まず車輪がスポーク付きのものに変更されていますね。さらに機関車の形がビミョーに違うような気が……。
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 組立説明書を比較してみると、ははーん、モーターが違うために機関車の構造が変わっているんですね。初期のモーターは分解不可、中央部がブリック4段分ある大きなものでしたが、まもなく分解可能で、中央部がブリック3+薄板1枚分とややスリムになっています。このあたりの事情は前項をご覧ください。
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↑こちらは初期のもの。↓こちらが改良後。
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↓新旧の説明書。機関車の組立図以外は表紙も含めまったく同じ。
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 なお、パッケージもまったく変更されていません。
 ところで#116の貨車側面のラッパのマーク、子どもの頃はわからなかったんですが、郵便のマークなんですね。クレイアニメの「ピングー」で、郵便配達人であるピングーのお父さんが、このマーク付きのカバンを持っているのを見て知った次第。でも郵便のマークは国によって違い、#116も発売地域によって違うマークのものもあるらしい……。また、機関車側面に使う「116」の金文字印刷ブリックが含まれているバージョンもあるそうで、いろいろと謎の多いセットではあります。それだけ息の長い、人気商品だったのかもしれません。
 なお#116はその後さらに連結器がマグネット式にモデルチェンジされ、#127として売られていました。

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