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幻の? 1972年版カタログ [資料など]

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 日本語のカタログとしては1960年代末に2点(発行年は明記されていなかった)発行された後、1970年版、1971年版が出ています。ところがその次に出たのは、当方の知る限りでは1973年版で、1972年版というのは存在しない様子(あるはずだ!とおっしゃる方、情報をお寄せください)。しかしながら、海外ではご覧のように、立派な1972年版カタログが出ています。写真は海外オークションで入手したベルギー版(独仏語併記)で、Peeron にはドイツ版も収録されています。
 このカタログではレゴランドや4.5V鉄道シリーズに大物の新製品がいくつも登場しています。なぜ日本語カタログが出なかったのか、疑問が残るところ。1973年以後は順調に年版カタログが出ていますし……。ちなみにこの時代の輸入元は不二商で、1960年代末にそれまでの朝日通商から引き継ぎ、1978年にレゴ・ジャパンが設立されるまで日本での販売業務を担当していたはずです。
↓このように、レゴランドシリーズのページには大物の新製品がズラリ……。
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1972年の日本版カタログが発行されなかった理由は……?
 推理その1;新製品が多かったこと自体が理由だったのかも。レゴランドシリーズはともかく、4.5V鉄道シリーズでは従来のセットや単品の車両がほとんど廃番となり、新しい製品群と入れ替わっています。そして車両の構造も、足回りに車輪や連結器もついた一体形の台車パーツに統一され、連結器の高さなど規格も若干変更されています。こうなると、1971年以前の製品は売りづらくなると思うのですが、もし、日本市場で旧製品の在庫がまだたくさんあったとしたら、この際、カタログの発行を見送ってでも、旧製品を売ろうという判断がなされた……という事は考えられないでしょうか。
↓4.5V鉄道シリーズのページ。列車セットはすべて新製品に移行しています。
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 推理その2;あるいは1971年のカタログには掲載されていた12V鉄道システムの動向と関係があるのかも。海外では販売が続けられていたにもかかわらず、1973年の日本版カタログでは姿を消してしまっているからです(ちなみにイギリス版でも同様)。1972年のカタログを出す時期に、不二商では12Vシステムを日本向けに発売するかどうか、決めかねていたとか……?
↓ベルギー版の1972年版カタログには引き続き、12V鉄道シリーズが掲載されています。
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 12Vシステムが結局、日本に流通しなかった理由も不明ですが、家庭用コンセントから電源をとるトランスを使うこのシステムでは当然、日本の100V規格のトランスが必要となり、それがネックになったのかも。しかし、不二商はドイツの有名な鉄道模型メーカーであるメルクリン製品の輸入も手がけており、こちらでは日本規格のトランスをちゃんと発売していますから、技術的な問題はなかったはず。下の写真は1975年の「メルクリン」日本版カタログより。日本規格のトランスが掲載されており、しかもレゴの場合と異なり実際に市場に出回っていました。
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 思うに、レゴの12Vシステムは、価格や位置づけを考え合わせると、日本では売れないだろうという、シビアなマーケティング結果だったのかもしれません。
 いずれにしても、12Vシステムの製品群は今後、掘り下げて行きたい研究テーマですね。
 なお1972年のベルギー版カタログの全容は、Peeron で見る事ができます。

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